書き方
どこでもんじょで文書を書くためのガイドです。前半はアプリの基本操作、後半は原稿の書き方(Markdown 記法)を説明します。
記法の相談や原稿づくりには、専用の AI アシスタント どこでもんじょ使い方(ChatGPT) もご利用いただけます。
はじめに
どこでもんじょの原稿は Markdown 形式で書きます。一般的な Markdown に加え、組版のための 独自命令 が使えます。ここではその記法を仕様書のようにまとめます。
標準 Markdown 記法
どこでもんじょは CommonMark 系の Markdown を礎にしています。まずは標準的な記法を覚えましょう。
見出し
行頭に # を付けます。# の数がレベル(1〜6)です。
# 第1章
## 第1節
### 第1項
段落
空行で段落を区切ります。1行だけの改行は、通常は同じ段落内の折り返しとして扱われます。
強調
| 記法 | 意味 |
|---|---|
*強調* |
ゴシック体など |
**より強調** |
太いゴシック体など |
***もっと強調*** |
より太いゴシック体など |
~~打ち消し~~ |
打ち消し線 |
行内コード
バッククォートで囲みます。
`*強調*` のようにそのまま表示できます。
リンクと画像
[表示テキスト](https://example.com)

箇条書き
行頭を - または * で始めます。2スペースのインデントで入れ子にできます。
- りんご
- みかん
- 温州みかん
チェックリスト
- [x] 完了した項目
- [ ] 未完了の項目
引用
行頭に > を付けます。
> 結論を先に書き、根拠を後に置くと読みやすくなります。
コードブロック
3つのバッククォートで囲みます。言語名を書くとハイライト対象になります。
```js
console.log('Hello');
```
表
パイプ | とハイフン - で表を作ります。
| 見出し1 | 見出し2 |
|---|---|
| セルA | セルB |
水平線
--- だけの行で区切り線を入れます。
数式(LaTeX)
インライン数式は $...$、独立した行の数式は $...$ です。
アインシュタインの式は $E=mc^2$ です。
$
\int_{a}^{b} f(x)\,dx = F(b) - F(a)
$
フロントマター(文書設定)
原稿の先頭を --- で囲むと、フロントマターとして文書全体の組版設定を書けます。キーと値は キー: 値 の形です。
---
題: どこでもんじょ入門
方向: 横
紙: B5
段組: 1
目次深さ: 2
---
# 本文はここから
主な設定項目
| キー | 別名 | 説明 | 例 |
|---|---|---|---|
題 |
題名 |
文書の題名 | どこでもんじょ入門 |
紙 |
用紙, 判型 |
判型名または mm 寸法 | A4, B5, A4横, 182x257 |
方向 |
— | 組版方向 | 横(縦 は未対応) |
段組 |
— | 段組数 | 1, 2 |
目次深さ |
tocDepth |
目次に含める見出しの深さ | 2 |
h1番号様式 |
— | 章番号の書式 | 第{h1}章 |
h2番号様式 |
— | 節番号の書式 | {h1}-{h2} |
h3番号様式 |
— | 項番号の書式 | {h1}-{h2}.{h3} |
h1前 |
— | h1 見出しの直前へ毎回入れる命令 | 改頁 |
h1後 |
— | h1 見出しの直後へ毎回入れる命令 | 上浮抑制 |
段落間糊Pt |
— | 段落間の固定アキ(pt) | 0pt |
段落間糊PlusPt |
— | 段落間の伸び量(pt) | 1pt |
段落間糊MinusPt |
— | 段落間の縮み量(pt) | 0.5pt |
コードブロック前空きem |
— | コードブロック直前の空き | 0.5em |
分綴 |
— | ハイフネーション例外語 | ja-va-script type-script |
分綴言語規則 |
Hyphenopoly |
分綴言語 | la, en-us |
全角追加 |
— | 全角扱いにする文字 | — |
全角除外 |
— | 全角扱いから外す文字 | — |
二桁数一枡 |
— | 二桁数字を1枡にまとめる | 入 / 切 |
番号様式の {h1} {h2} {h3} は、それぞれ章・節・項の連番に置き換わります。既定では 第1章 1-1 1-1.1 のような形式になります。
h1前 h1後 を使うと、章見出しごとに毎回書いていた命令をまとめて指定できます。たとえば h1前: 改頁/h1後: 上浮抑制 としておけば、各 h1 見出しの前後へ自動でその命令が入ります。「;」で区切って複数書けます(例: 縦埋め; 改頁)。見出しの前後に同じ種類の命令を直接書いた場合は、そちらが優先されます。特定の見出しだけ止めたいときは、その見出しの直前・直後に <!-- 見出し前=切 -->/<!-- 見出し後=切 --> を書きます。
HTML コメント命令
<!-- ... --> 形式の HTML コメントを、組版の命令として使えます。プレビューや PDF には出力されません。
HTML コメント命令一覧
| 命令 | 説明 |
|---|---|
<!-- 改頁 --> |
その位置で改頁する。<!-- pbr --> も同じ |
<!-- 紙面: 段組=2 字数=23 行数=36 --> |
段組・字数・行数・文字サイズ・本文幅を途中から切り替える |
<!-- 縦埋め --> |
残った縦方向の空きを埋め、後続をページ下部へ送る。<!-- vfill --> も同じ |
<!-- 上浮抑制 --> |
そのページ上部へのフロート配置を抑制する。<!-- suppressfloats --> も同じ |
<!-- 段落字下げ: 2em --> |
以降の段落の字下げ量を指定する。値なしで既定に戻す |
<!-- 段落ぶら下げ: 2マス --> |
以降の段落の2行目以降をぶら下げる。値なしで既定に戻す |
<!-- 見出し番号: 無 --> / <!-- 見出し番号: 有 --> |
見出し番号を一時停止・再開する |
<!-- 見出し前=切 --> / <!-- 見出し後=切 --> |
その h1 だけ、フロントマターの h1前 / h1後 を止める |
<!-- 類: 類名 --> … <!-- /類: 類名 --> |
範囲内に様式用の CSS クラスを付ける |
<!-- 組み方: 欧文 --> |
以降の段落の組み方を 欧文・和文・切・自動から指定する |
<!-- 分綴: hy-phen-ation --> … <!-- /分綴: hy-phen-ation --> |
範囲内で分綴の例外語を追加・除去する |
<!-- 分綴言語: en-us --> … <!-- /分綴言語: en-us --> |
範囲内で分綴言語を追加・除去する |
<!-- 浮 位置="htbp" --> … <!-- /浮 --> |
範囲内の図・表などをフロートにする。浮 の代わりに float も使える |
各命令の値や使用例は、以下の説明と「ブロック単位の独自記法」を参照してください。
改頁
<!-- 改頁 -->
次のページから本文を続けます。pbr も同じ意味です。
紙面
段組・字数・行数・文字サイズ・本文幅を、文書の途中から切り替えます。次のページから反映されます。
<!-- 紙面: 段組=2 -->
二段組に切り替える例です。一段に戻すときは 段組=1 を指定します。字数や行数もまとめて指定できます。
<!-- 紙面: 段組=2 字数=23 行数=36 -->
段組の切り替えは改頁を伴うので、改頁と並べて書きます。
<!-- 改頁 -->
<!-- 紙面: 段組=2 -->
# 二段組の章
縦埋め
<!-- 縦埋め -->
その位置からページ下部まで縦方向の空白を入れます。表紙や奥付で、著者名などを下寄せしたいときに使います。vfill も同じ意味です。
上浮抑制
<!-- 上浮抑制 -->
以降のページで、図表などのフロートが上に寄りすぎないよう抑制します。suppressfloats も同じ意味です。
段落字下げ・ぶら下げ
<!-- 段落字下げ:0em -->
<!-- 段落字下げ:2em -->
<!-- 段落字下げ: -->
以降の段落の字下げ量を変更します。空の値 <!-- 段落字下げ: --> で既定(1em)に戻ります。
<!-- 段落ぶら下げ:2em -->
<!-- 段落ぶら下げ:2マス -->
<!-- 段落ぶら下げ: -->
2行目以降の行頭位置(ぶら下げインデント)を指定します。
見出し番号の一時停止
<!-- 見出し番号:無 -->
## 謝辞
<!-- 見出し番号:有 -->
無 のあいだは見出しに章節番号を付けません。目次には載りますが、番号カウンタは進みません。有 で再開します。
類(様式クラス)の範囲指定
<!-- 類:文字中央 ゴシック 太め -->
表紙の題名
<!-- /類:文字中央 ゴシック 太め -->
類: で始まる命令は、対応する <!-- /類:... --> までの段落・行に CSS クラスを適用します。複数のクラス名をスペース区切りで書けます。
組み方
<!-- 組み方:切 -->
以降の段落を、禁則処理を切り詰め優先で組みます。<!-- 組み方:自動 --> で既定に戻ります。
分綴の局所指定
<!-- 分綴: play-ed pray-ed -->
<!-- /分綴: play-ed -->
段落をまたいで、分綴の例外語を追加・除去できます。分綴言語 も同様に <!-- 分綴言語: en-us --> 形式で使えます。
独自の行内記法
脚注(インライン)
本文の末尾に注を付けます^[脚注の本文です]。
注番号は出現したページの下部に表示されます。
後注(定義付き脚注)
GFM 形式の後注も使えます。
本文[^id]です。
[^id]: 後注の本文です。
索引エントリ
[[索引語]]
[[索引語|表示テキスト]]
[[かな@索引語|表示テキスト]]
[[...]] は索引に登録する語句です。| の右側が紙面上の表示になり、@ の左側で索引の並び順に使うかなを指定できます。
ルビ
HTML の ruby タグでルビを付けられます。
<ruby>編<rt>へん</rt>集<rt>しゆう</rt></ruby>
番号と相互参照
キャプションを [本文](種:標) と書くと、番号が自動で付きます。番号は種ごとに別々に数えられ、原稿中の登場順に 図1、図2……、表1、表2……、譜例1、譜例2……となります。種には 図 や 表 以外の任意の文字列も使えます。
図のキャプションは、画像とは別の行に [本文](図:ラベル) と書きます。

[システム構成図](図:構成図)
これは 図1 システム構成図 のように表示されます。画像の代替文  だけでは図番号は付きません。
表のキャプションは、対応する Markdown 表の直前に [本文](表:ラベル) と書きます。キャプションと表の間には空行を置けますが、別の段落やブロックは挟まないでください。
[主な機能](表:機能一覧)
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 自動組版 | 原稿をページに流し込みます |
| PDF出力 | 端末内でPDFを作ります |
これは 表1 主な機能 のように表示されます。
本文からキャプションを参照するときは <Ref> を使います。t にはキャプションの種、l には標を指定します。
全体の構成を<Ref t="図" l="構成図">図「システム構成図」</Ref>に示します。
主な機能は<Ref t="表" l="機能一覧">表「主な機能」</Ref>を参照してください。
t と l の両方がキャプションの種と標に一致すると、タグ全体が実際の番号(図1、表1、譜例1 など)に置き換わり、キャプションへのリンクになります。参照はキャプションより前に書いても解決されます。参照先が見つからない場合は、タグ内の 図「システム構成図」 などを表示したまま、どこでもんじょ上に警告が表示されます。
タグで挟んだ文字は、Obsidian(オブシディアン)など、どこでもんじょ独自の相互参照を解釈しない Markdown 編集環境で原稿を開いたときの表示にも使われます。そのため、別の編集環境でも 図「システム構成図」 のように参照内容を適切に読めます。
参照しないキャプションでは、[概念図](図) や [測定結果](表) のように標を省略できます。番号は付きますが、<Ref> からは参照できません。同じ種と標の組み合わせは原稿内で重複させないでください。種が異なれば、同じ標を使えます。
図表以外も同じ方法で採番・参照できます。
[主題](譜例:sample)
この旋律は<Ref t="譜例" l="sample">譜例「主題」</Ref>を参照してください。
これはキャプションが 譜例1 主題、本文中の参照が 譜例1 と表示されます。
創作漢字(グリフウィキ)
<GW c="u2ffb-u96e8-u2ff0-u2e80-u2e80">[激しい雨]</GW>
c 属性にグリフウィキのコード列を指定します。
下線・span 装飾
<u>下線付き</u>
<span class="赤 細め">赤字の細字</span>
ブロック単位の独自記法
フロート(図・表の浮き配置)
<!-- 浮 位置="上" style="text-align: center;" -->

[図のキャプション](図:構成図)
<!-- /浮 -->
<!-- 浮 --> … <!-- /浮 --> で囲んだ部分は、ページ上部または下部に浮き配置されます。
位置…上,下,htbpなど(TeX の浮き体に近い指定)style…text-align: center;など- キャプション …
[本文](種:標)(例:[主題](譜例:sample))
float / /float は 浮 / /浮 の別名です。
目次ブロック
<div class="目次"/>
フロントマターの 目次深さ に従って、目次を自動生成します。深さを個別に指定する場合は data-depth="2" を付けます。
索引ブロック
<div class="索引"/>
原稿中の [[...]] から索引を生成します。
後注一覧
<div class="後注"/>
後注([^id]: 形式)の一覧を出力します。
HTML ブロック
<div> や <span> を使った HTML ブロックで、Markdown だけでは難しいレイアウトを書けます。
<div class="文字右">
令和8年6月20日
</div>
見出し番号
# 見出しには、既定で章節番号が自動付与されます。
# 章 → 第1章 章
## 節 → 1-1 節
### 項 → 1-1.1 項
番号の書式はフロントマターの h1番号様式 などで変更できます。謝辞や参考文献のように番号を付けたくない見出しには、<!-- 見出し番号:無 --> を使います。
書き出し
| 形式 | 内容 |
|---|---|
| Markdown | 原稿そのもの(.md) |
| HTML | 組版済みの紙面を再現した HTML |
| A4 等の判型で組版した PDF | |
| CSS | 適用中のスタイルシート |
原稿を他のツールでも開きたいときは Markdown、仕上がりを配布したいときは PDF や HTML を使います。
記法の対応表(早見)
| やりたいこと | 記法 |
|---|---|
| 改ページ | <!-- 改頁 --> |
| 二段組に切り替え | <!-- 改頁 --> と <!-- 紙面: 段組=2 --> |
| 下寄せレイアウト | <!-- 縦埋め --> |
| 字下げ変更 | <!-- 段落字下げ:0em --> |
| 様式を範囲指定 | <!-- 類:ゴシック --> … <!-- /類:ゴシック --> |
| 脚注 | ^[脚注本文] |
| 後注 | [^id] と [^id]: 本文 |
| 索引登録 | [[かな@語|表示]] |
| ルビ | <ruby>漢<rt>かん</rt></ruby> |
| 図の浮き配置 | <!-- 浮 --> … <!-- /浮 --> |
| 目次 | <div class="目次"/> |
| 判型指定 | フロントマター 紙: B5 |
さらに詳しく
上記はよく使う記法の抜粋です。数式・表組み・欧文の分綴・フロートの細かい配置指定など、より高度な組版機能も備えています。実際の原稿では、編集画面のプレビューを見ながら調整するのがいちばん確実です。